初日から、ゲ、マジで⁉️の連続・・
晴れて就職した私。
大して緊張感もない。
ケーキ箱に詰めて、売ればいいんでしょ。
それくらいに考えてたし、多くの場合それでいいんじゃないだろうか。
しかし、この店はちょっと違う・・・。
朝、恐る恐るドアを開く。
「お、はようございま〜す・・・」
「あ、ロッカーはこっちです。制服のシャツ、渡します」
とのことで、休憩室と思われる部屋へ。
マジか・・・
休憩室でもロッカー室でもなく、ここは倉庫じゃないか。
8畳〜10畳くらいと思われる部屋の両脇には、ダンボールの山、山、山・・・
足元にはギリ人が通れる程度の細長い空間。一応カーペットになっていて、靴は脱いで上がるようになっているので、元々は確かに休憩室として設られたものなのだろう。
部屋の一番奥に、ロッカーがある。8人分くらいはあるようだ。
その一つを指定され、前の人のだろうか、鍵にはキーホルダーのようなものが付けっぱなしだ。
「鍵は閉めても閉めなくてもいいです」
という謎の説明とともに、制服の白いスタンドカラーのシャツを渡される。
これは一応ちゃんとクリーニングされたもののようである。ホッ。
エプロンも、クリーニングされたものを渡される。
黒のパンツは自前である。これはこれで構わないのだが。
次にタイムカードの説明。
入り口付近に積まれた段ボールの上に、新しいタイムカードがたくさん入った箱が、まるでそこが定位置かのように置いてある。そこから1枚を取り出し、
「名前書いて」
あ、自分で書くんスね。
用意しておいてくれたわけじゃないんですね、別にいいけど。
名前を書いて、いざタイムカードの刻印機っていうんですかね、それに差し込もうとしても・・・ダンボールと、あとゴミが溢れそうなゴミ箱が足元にあるせいで、そこまで手が届かないんですけど。
「すみませんね、散らかってて」
店主が一応申し訳なさそうに言う。
私はグイグイと、ダンボールとゴミ箱の間を押し分けるように足を滑らせ、
ジジッ
ようやく刻印。
定刻よりだいぶ過ぎでしまったが、その場で店主が手書きで訂正してくれたのでそこは安心。
「すみませんね、こんな散らかってて」店主はまた言う。
「あはは・・・」
まさか、ここで皆さん休憩してるんじゃないですよネ・・・
とりあえず、見なかったことにしよう。
いや、そこでシャツに着替えたんだから、しっかり見たんだけど。
やばい店、かも・・・
「着替え終わったら来てください」
既に一抹の不安を覚え、カーテンもない、隣家から丸見えの窓ぎわでシャツに着替え(中には普通のTシャツを着込んできたのでセーフである)、いざ、出陣である。
ドアを開けるとまず厨房がある。
甘い匂い。お菓子度100%である。
店主に着いていくすがら、若いパティシエ?弟子?が男女2人いた。
向こうから、挨拶してくれる。
まずは女性から。私もすかさずご挨拶。若い。でもいい感じである。
男性も。こちらもいい感じである。
私は歓迎されてるのだろうか?こんなおばちゃんでも?
誰でもいいから来てほしい、そうじゃないと私らの残業が減らんのだ、という、藁にもすがる思いなんだろうか。
挨拶はできたものの、店主は「いいから早く」と言わんばかりである。
ちゃんと紹介もしてくれないのね。
彼らがどんな人なのか、バイトなのか社員なのか、説明する気はないらしい。
まだ私を、
今日すぐ辞める可能性がある人、くらいに思われてんだろうか。
ま、それもそれで仕方ないのか。
どうでもいいけど、店主は、怪しい。
私の経験上の普通と、違うぞ。
初日はそんな感じで始まった。
ケーキ販売の仕事なんだから、早速ケーキ販売の仕事を教えられるのかと思ったら、どうも様子が違う。
まずは下働きから
とでも言わんばかりの仕事を、まずさせられる。
最初の仕事は、
小さく切られた厚紙に、定規を使って折り目をつける、
という仕事である。
はあ
試されてんのか?
これ、できるかな?と。
その時は、
あ〜今、教える時間がないのかな、だからとりあえずこれでもやっといてってことなのかな、まあ、楽だし私は構わんが・・・
くらいに思ってたけど。
よくよく考えると、おかしかったな。
次の仕事は
封筒づくり
内職感100%である。
でも別に私は構わんかった。これで時給1200円かあ、ラッキ〜
くらいで。
(続く)
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